顔面神経麻痺

ベル麻痺の体験記:右の顔面が突然に麻痺して動かなくなった時のこと

発症当初は、自分が何の病気かも分からず、顔が麻痺している事実を受け入れることは相当な勇気がいりました。まさか自分が顔面神経麻痺のBell麻痺を発症するとは思わなかったし、この病気の存在すら知らなかったわけです。発症して間もない時は、相当落ち込んだし、いろんな苦労もありました。
治療する過程で、この病気のことを理解して向き合って行こうと顔面神経麻痺のことを調べ始めました。その調べたこと、自らの体験記録を残すことで、自分と同じように顔面神経麻痺を突然に患い、悩んでいる方のお役に立てればと公開しました。ここでは自分が発症して治療した体験から、気をつけておきたいポイントとなる事柄を中心にまとめておきます。

顔面神経麻痺を発症したら、早期に大きな病院の耳鼻科咽頭科で診察してもらおう。

きっかけは右後頭部の痛み。正確には、右側の耳の裏側、首の付根辺りに痛みが持続している状態。この時に神経を損傷していたのだが、ただの頭痛だと思い込んでしまう。その2日後に再び同じ箇所に痛みを感じる。右目が何か霞む様にもなった。そして、少し顔が動かしづらい感覚を味わう様になる。そこから症状は悪化して、右側の顔の麻痺は進行していく。まず、食事をしても右側の口が閉じきらないので物を溢すようになるし、物を噛むことも苦労する様になってきた。歯医者さんで麻酔をした直後に、うがいをしても水を吹き出すあの感覚だ。凄く不安になって、鏡を見て愕然となった。右側の顔半分が動かないのだから。。

痛みを感じてから、違和感はあったものの完全に顔面神経麻痺だと確信したのは、発症してから4日後のことだった。それから、インターネットで調べると似たような症状の事例が出てきた。この病気だと確証は持てなかったが、早急に診察してもらわらなければとネット情報を頼りに耳鼻科咽頭科へ。最初は、顔面神経麻痺で耳鼻科咽頭科と半信半疑だったのだが、後に顔面神経のメカニズムを知ると納得できてくる。診察開始してすぐに別の病院へ紹介状を書いてくれた。小さな診療所だと検査も十分にできないからか、大きな総合病院へ移された。

予想通り顔面神経麻痺と診断される。この時点では、Bell麻痺とHunt症候群のどちらかとは診断できない為、さらに詳細な診断をする為に聴力検査や血液検査をすることになる。顔面への節電図検査は後日になり、ステロイド投薬治療を開始する。初診では、顔面神経麻痺の状態はかなり悪い方だと診断されてしまった。。なので、発症したら早期に的確な治療を開始することが望ましいみたい。このタイミングがとても重要になってくるのです。

早期の診断と治療で、顔面神経麻痺の治癒率と予後の結果が変わってくる。

初診で麻痺の程度は重症、40点法で4点という診断結果でした。麻痺が回復するのに3ヶ月以上は掛かるだろうと宣告される。神経が再生して表情筋に到達するのに3〜4ヶ月は必要らしい。また、Bell麻痺やHunt症候群、もしくは他の顔面神経疾患も含め病状を診断するわけだが、初診の段階では皮疹や粘膜疹が見られないことからBell麻痺が濃厚だが、Hunt症候群の可能性も否定できないので最終診断は検査結果後になる。Bell麻痺の場合は良好な治癒が認められるらしいが、Hunt症候群になると一気に治癒が不良となってくるらしい。

検査結果までの間、ステロイド療法と抗ウイルス薬を併用しながら様子を見ることになる。自分の場合、ステロイド療法は経口だったが、病状によっては点滴投与の場合もあるみたい。このステロイド療法は、顔面神経麻痺では一般的に普及している治療法らしい。ステロイド薬は、徐々に量を減らしていって最終的に飲みきって終了となるのだが、毎日服用する容量が異なるため、間違えないように注意する。処方薬局さんで処方してもらう際に、薬物を小分けにしてもらうと分かりやすい。初診で処方された薬物は次の通りでした。

  1. プレドニン錠:炎症やアレルギーを抑える副腎皮脂ホルモン剤
  2. バルトレックス錠:ヘルペスウイルスによる感染症を治療する薬
  3. ラニチジン錠:食道炎を改善したり、胃酸を抑える薬
  4. アデホスコーワ顆粒:組織の働きを活性化する薬
  5. メチコバール錠:ビタミンB12を補う薬
  6. ヒアレイン点眼液:角膜や結膜を保護して傷の治癒を促す点眼薬

※ステロイド療法は効果的だけど、合併症を考慮する必要があります。
※何気に目薬は必須。麻痺側の眼を保護する為に眼帯もあった方が良いです。

発症後10日位経過してからの麻痺症状は最悪でした。瞼が閉じず瞬きができないため、眼が乾き痛くなったり、突然涙が出たりします。頭を洗うとき、水が眼に入り込むので手で覆いながら洗髪してました。この様な状態なので眼帯が非常に重宝します。就寝時とかも、完全に瞼が閉じていませんので眼球保護とドライアイを防ぐ為に欠かせません。この瞬き問題と同じくらい、口が閉じきらない症状にも苦労させられます。幸い味覚障害は起こらなかったのは救いでした。

治療開始してから10日後に検査結果が分かり、顔面神経麻痺のひとつBell麻痺と診断されました。節電図検査により顔の表情筋は50%以上の動きが確認できたこと、血液検査でもヘルペスウイルスなど、Hunt症候群を発現するウイルスではなかったからです。Bell麻痺は顔面神経麻痺の中でも、治癒率が良好な疾患ということで心底安堵しました。これがHunt症候群だと、治癒率がかなり低くなるわけですから。
また、顔面神経麻痺は発症してから病状の確定と治療の開始時期によって治癒率や予後経過が大きく変わってくるそうです。自分の場合は、診察と治療を開始するのが遅かったんだと改めて痛感しました。

自然治癒は長丁場。適切な治療で徐々に顔面神経麻痺に変化が見られるようになる。

Bell麻痺と診断をされ、薬物治療を継続して様子を見ることになった。ステロイド薬と抗ウイルス薬を服用している間は、とにかく体調は優れなかった。ステロイド療法も終わり、抗ウイルス薬の必要性が無いだろうということで、この2つの薬物投与は終了する。この時点では、麻痺の大きな回復は確認できない。だが、少し顔面にあった緊張感、こわばりが解れた感じがしてくる。

服用する薬はビタミン剤と組織活性化を促進する薬のみとなった。ここからは、自然治癒による長い長い治療の開始です。Bell麻痺が発症し3週間位してから、麻痺の回復が確実に確認できるようになってきた。まずは、ウィンクができる様になり、額にシワが寄る様になった。鼻と口に関しては治りが悪く、動かしづらい感覚。具体的には、口角を吊り上げられず、鼻を広げられません。ただ、飲食はだいぶしやすくなりました。これだけでも経過良好です。

治療を開始してから1ヶ月後の再診では、40点法で34点という診断結果でした。診断では飛躍的に回復したことになります。ここからは、ほんとに微妙な変化が徐々に現れる感じです。気が付くと、瞼が完全に閉じれる様になって、額などシワの本数が増えてくる。ただ、個人的な感覚なんですが、顔の中心になる程に回復が遅い印象です。特に鼻と口はなかなか回復していきません。調べると再生し始めた神経は、1日1mmのスピードで再生し表情筋に到達するようです。ある程度の回復には3ヶ月ほど掛かるらしいのです。自然治癒は長丁場、気長に回復を待つしかないようです。

後遺症予防とリハビリテーションを心掛けておこう。

Bell麻痺の発症4ヶ月後くらいから、病的共同運動や顔面拘縮などの後遺症を形成することがあるようです。もちろん病状の程度により個人差はあるはずですが、発症から3ヶ月間は適度なマッサージをしたりして後遺症予防を意識する必要があります。適度なことが重要で、マッサージのやり過ぎも良くないらしいのです。自分の場合は、毎日では無いですが簡単なマッサージを行っていました。リハビリテーションは、病院でも希望すれば指導してくれます。Bell麻痺とHunt症候群対象の用手的伸張マッサージを参考に、適度なリハビリテーションを心掛けられると良いですね。
また治療中の経験より、激しい運動をすると稀にBell麻痺側の後頭部に痛みを感じることがありました。体温の上昇などが原因のような気もしますし、気温の寒暖差も影響する様です。なので、極端な運動は避けて、適度な運動を意識するようにしています。

Bell麻痺の発症から2ヶ月を経過した位に、麻痺側の頬の表情筋に痙攣が発現しました。これが神経再生による現象かは一概に言えませんが、治癒の悪い鼻や口にも回復の兆しが徐々にですが見えてきました。発症から3ヶ月が経過した診断では、40点法で38点という結果にまで回復しました。完全回復ではありませんが、回復は良好で後遺症の心配もなさそうです。

今回この様な顔面神経麻痺を患って、当たり前に機能していたものが突然機能しない苦労を体験し、五体満足で生活していれたことを改めて幸せに感じました。

【追記】発症して5ヶ月、病院での診察が終了しました。ベル麻痺の症状もほぼ回復しました。完全に元通りでは無いものの、気にならない程度の違いが顔面左右にあるのかなと感じるくらいです。(発症して3ヶ月後には、生活にも支障が無いくらい回復)しかし、先生にも忠告されたのは後遺症のこと。だいたい、発症からこれ位の時期に発現するそうなので、発現していない現状では大丈夫そう。ただ、気には留めておきたい。また、いつ顔面神経麻痺が発症するか分かりませんもの。でも、顔面が動くようになって本当に良かった。
ベル麻痺は早期治療すれば、元に近い状態にまで回復できる病気です。発症したら、慌てず適切な治療を総合病院などで受けてくださいね。